今まで気にしてなかったけど、 海外と日本でワクチン接種に対する考え方の違いってあるの? 今回は国立感染症研究所 感染症疫学センター神谷 元 先生。 「海外のワクチン事情とママたちの意識の違い」をテーマにママ達の不安に答えていただきました。
はい。海外(アメリカ)では、個人を病気から守るために周りの人もワクチン接種で予防するという考え方が広くいきわたっています。
補足説明
周りに免疫を持っている人が多いと、その病気自体が流行しにくくなります。これが集団免疫の効果です。 アメリカ社会には「ワクチン接種によって病気を防ぐ」考え方が根づいており、病気にかかってからの治療よりも、かからないための予防が重要視されています。 いくら赤ちゃんにワクチン接種を受けさせたとしても、周りの大人が病気にかかってしまうと赤ちゃんにうつしてしまう可能性が高くなるのは当然。日本では、その意識が薄いようです。 ワクチン接種の安全性が高くなっている今、社会全体で免疫をつけ、病気にかかりにくい環境を作っていくことが求められています。
学校という一つの団体社会の中に、流行性の病気に対する免疫を持たない子がいると、そこから病気が拡まってしまう。その危険性を防ぐためです。
補足説明
アメリカでは適切な時期にワクチン接種を受けることが徹底されており、接種できていない場合、入学できないということも珍しくはありません。 親の方針や諸事情によりワクチン接種をさせていない場合、在学中に流行性の病気にかかった際などは休学も止む終えないことを承諾する誓約書にサインを求められます。このことからも、「社会全体で病気を予防する」意識の高さがうかがえます。
ということです。
補足説明
自転車に乗る際の補助輪。 強い日差しを避けるための帽子。 車の中では、チャイルドシート。 赤ちゃんを危険から守るための、 この当たり前の手段の一つに予防接種があるということをアメリカではママたちに呼びかけています。 これらのメッセージの効果がアメリカのワクチン接種に対する意識の向上に現れているのです。赤ちゃんを守るためにも周りの大人の積極的なワクチン接種を心がけましょう。
1999年三重大医学部卒。聖路加国際病院小児科レジデント修了後,米国カリフォルニア州サンディエゴ郡保健局予防接種課に所属され,現地スタッフとともに予防接種業務に従事されました。08年8月より現職。日本小児科学会専門医でもあります。先生の勤務されている研究所は、国内や海外の感染症の流行状況を日々調査し、国内への流入や流行の拡大を未然に防ぐため、また流行時の迅速な対応のために調査研究されている機関です。海外での経験を生かして、さまざまな予防接種に関する調査研究データを小児科医の先生に提供して頂いています。