ワクチン接種はうけた法がいいのはわかっているけれど副反応が心配・・・。
今回は北里大学北里生命科学研究所所長 中山哲夫先生。
「ワクチンの副反応」をテーマにママたちの不安に答えていただきました。
生ワクチンは液性免疫のみならず、細胞性免疫も獲得できるため、一般に不活化ワクチンに比べて獲得できる免疫が強く、免疫持続時間も長いのが特徴です。しかし生きている病原体を使うため、副反応がおこる確率が上がります。不活化ワクチンは基本的に抗体の獲得を目指すもので、免疫持続時間も短いものです。このため、複数回接種が必要なものが多くあります。どちらも副反応には注意しないといけませんが、特に生ワクチン接種後のお子さんの状態、変化には注意しましょう。
ウィルスや細菌を殺し、増えないようにしたり、毒素を無毒化したものが不活化ワクチンです。
特に生ワクチンは生きた病原体を使用しているため、その病原体に対しての反応が副反応として現れます。必ずしも副反応が起こるわけではありませんが、ワクチンによる免疫の獲得の主反応がおこると同時にそれに伴う副反応も起こりえるという考え方です。
接種したところが赤くなったり、発熱が生じる以外にも、脳炎・脳症、無菌性髄膜炎、ギランバレー症候群、ITP(突発性血小板減少性紫斑病)等の病気の発症など、重大な副反応もあります。しかし、こうした病気の頻度は極めてまれで、ワクチン接種後に起きたものをひとくくりに副反応としてるため、必ずしもワクチンが原因だと断定できないことも多々あります。お子さんの様子がいつもと違うなと感じたら、病院で診てもらうと安心かもしれません。
お熱が出ても、元気でミルクもちゃんと飲んでいたら、心配しなくても大丈夫です。不活化ワクチンを受けた後は当日に熱が出ることもありますが、通常は24時間以内に下がります。発熱が続いたり、ミルクの飲みが悪く活気がないなどいつもの様子と違う場合は受診をお勧めします。
高知県出身。慶応義塾大学卒業。
17年の小児科勤務を経て、北里研究所ウィルス部入所。
現在は北里大学北里生命科学研究所の所長として、ワクチンの開発や製造、政策に提言を続ける日本でも数少ないワクチン専門医であり、なかでも副作用研究の第一人者の先生です。
雑誌『KIDS-TOKEI』2016年5月掲載記事
【PDFダウンロード】