ママたちの間でもいろいろ
な噂が飛び交う予防接種。
今回は川崎市健康安全研究所 岡部信彦先生。
「予防接種 安心と心配」をテーマにママたちの不安に答えていただきました。
WHOが緊急事態宣言を出した「ジカ熱」(※1)。
ジカ熱自体の症状は軽いものの、妊娠中の女性が感染すると胎児への影響を疑われているため、ママやママ予備軍の間で不安が広がっています。このように、胎児に影響を与える感染症は他にもあります。
中でも、現在の日本では「ジカ熱」よりも「風疹」に気を付けてください。
もし、「風疹」の予防接種をしていないママ予備軍の方がいたら、今からでも遅くありません。
すぐに接種することをオススメします。
※1 ジカ熱…ブラジル等中南米で流行している、蚊を媒体にして感染する感染症。
母子手帳で確認しましょう。それでもわからなければ、検査もできるので、医療機関に相談してみてください。
というママ達の声をたまに聞きますが、それは大間違い!
国内での発症がなくても、世界からなくならなければ、日本に来る人が持ち込むかもしれない。
その時に、予防接種を受けていないと一気にその病気が広がってしまいます。
予防接種をして病気にかからない。たとえかかっても軽症で済むことが大切です。
例えば、昨年一時的に4種混合のワクチンが不足し定期接種を受けられなかった方もいるはず。今は解消していますので、その時受けられなかった方も保健所などに相談してみて下さい。
確かに予防接種の副反応は現時点でゼロではありません。しかし、その確率は事故(交通事故や子供の入浴中の溺死)にあうよりも少ない。副反応を恐れて予防接種を受けないのは事故を恐れて家から出さない。溺れることを恐れてお風呂に入れないのと同じ。それでは赤ちゃんの健康が損なわれます。予防接種を受けないことのリスクは計り知れません。予防接種は赤ちゃんの健康を守るためにあるのです。
その方法だと体調が悪い子や持病がある子も十分な問診なく予防接種を受けてしまう可能性もあります。かかりつけのお医者さんにお子さんの体調を見てもらいならが接種することがママと赤ちゃんの安心につながります。
世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局伝染性疾患予防対策課課長、国立感染症研究所感染症情報センター室長を経て、現在は川崎市健康安全研究所所長。日本ワクチン学会理事長。慈恵医大小児科客員教授。
WHOでの経験からなる国際的な視野と国内の感染症調査データをもとに、市民の健康を守るため感染症対策、食の安全や安心、環境衛生等の研究に従事されています。予防接種について国内外で多くの経験や研究成果をお持ちになっている先生のおひとりです。
雑誌『KIDS-TOKEI』2016年3月掲載記事
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