生まれてしばらくすると、羊水で暮らしていた頃の免疫力は消えてしまいます。
そんな時に病原菌が体に入ってきても、病気と戦う力はまだできていないのです。
また乳幼児のお子さんたちが保育園に行くようになれば、様々な感染リスクが発生します。また外から戻ってくる家族からももらうことがあるのです。
予防接種をしておかないと、最悪死に至る感染病に冒されるケースもあります。
そうならないために、生まれた時から病原菌に対する免疫力をつけるために予防接種を始めていくのです。
昔の風習で「感染している子に病気をもらって自然感染し免疫をつける」という行為がありましたが、今もそのような方法で病気の子に近づけてわざわざ感染させようとする保護者もいらっしゃるようです。理由は「強い免疫が得られるから」というのが主なものです。
確かに直接感染者から感染し、発症した場合「助かれば」強い免疫は得られるでしょう。
でも重症化しやすいリスクもあります。
いきなり子どもの細胞たちに相談なく、大きな敵を引き込もうとするのですから。
巨人が暴れる某漫画で例えると、防災城壁がなく戦士が丸腰で歩いている村に、巨人がいきなり襲ってくるようなものです。
また昨今の親事情として聞かれるのは「泣かれると面倒」「怖がってるのに可哀想」という保護者の気持ちが先に立っているもの。
もう一つ気になる声としてあるのは「周りの子はワクチンを打ってるからうちの子一人くらい打たなくても大丈夫」というもの。
重い持病やアレルギー疾患、第一子がワクチン接種して後遺症が残ったという理由は別として、安易に「楽」な方に逃げようとするのはやめるべきです。
その時は運良く免れたとしても後々我が子に降りかかるトラブルで健康面や費用面、そして社会的な面で親子とも後悔することになります。
かといって、「ノーワクチン」を選ぶのはお子さん当人ではありません。
乳幼児期に一瞬痛いのを我慢することで、お子さんの「将来の夢」をつなぐことができるのは、保護者だけなのです。
乳幼児期なら費用負担がかからないとされる定期接種や、任意接種の有料ワクチンはどのようなものがあり、我が子はどの種類まで打つ必要か、打っておかないと将来に響くワクチンはどれかをしっかり理解してから保護者が選択をなさってください。
定期接種はもちろん、任意接種も必要です。任意接種もその効果と安全性が十分確認されているワクチンです。
任意接種は費用負担がありますが、定期接種と同じくお子さんの健康を守るには重要なものです。
ただ免疫をつける時期、年齢がある程度決まっていますので、接種スケジュールを組んで打つ必要があります。
生まれて未就学時までの間はワクチン接種の数が多く、管理するのが大変ですので、「日本小児科学会推奨のスケジュール」を参照し、お子さんの成長時期に「いつ何を打つのか」を把握し接種を受けさせるのは、保護者の役目です。
日本小児科学会推奨のスケジュール表には任意接種のうち、スケジュールに記載していないものがあります。
A型肝炎、肺炎球菌多糖体、髄膜炎菌、狂犬病、黄熱病のワクチンについては、海外に行く時に必要となります。渡航先では日本では流行っていない病気もあります。
そうした病気にならない、あるいは感染しても軽く済む程度に抑えてくれるのは、予防接種に他なりません。
実際にどの接種が必要かは、かかりつけ医にご相談ください。
ノーワクチンでは我が子と
家族と社会の安全は守れない
定期接種も任意接種も
必要だから存在する
特定の海外への移住や旅行は
ノーワクチンだと我が子も社会も危険